2012年9月23日日曜日

Pierre Robin Sequence




日本で仕事をしていた時は新生児外科も多少は経験しましたが、多くは超未熟児でした。そしてカナダで働いたNICUは新生児外科は違う病院に搬送していたので、やはり超未熟児のケアが中心でした。

最近よく仕事で行くRoyal Children's Hospital(RCH)というところの新生児病棟は主に外科系の新生児が集まるところです。先天性の疾患の場合もあれば、生まれたときは未熟児で、でも生後合併症で手術が必要になったり、色々です(たとえば壊死性腸炎→ストマ)。

教科書でみたことがあるけど、実際には経験したことのないケースにもいくつか遭遇しました。そのうちのひとつがPierre Robin Sequence(PRS)。日本語ではピエール・ロバン症候群と訳されているようです。PRSは非常に珍しい症例で1万人ー3万人に1人と位の頻度でみられるそうです。

RCHでこの数ヶ月は働く中、すでに4人受け持ちました。そのうち3人は今みんな入院中で、一人は最近退院しました。

PRSの主な症状は①小顎症(あごが小さい)②口蓋裂(口腔内の上の部分が分離している)③呼吸障害などです。

一番問題となるのは③の呼吸障害。これは赤ちゃんによっては成長とともに良くなる場合もあれば、悪化したり個々によるようです。基本的なケアは気道確保のために腹臥位でのポジショニング。呼吸障害が悪化する場合は気道確保のためにNPチューブ(Nasopharyngeal Tube:鼻からのどにかけてチューブを入れる。気管挿管までの深さではない。目安としては鼻から耳の下の長さをはかり、気管チューブをその長さで挿入)。経口哺乳は呼吸状態をと合わせて実施、無理があればNGチューブ(鼻から胃に通すチューブ)でのミルクとなります。

PRSの赤ちゃんたちの経過はさまざまで、外科的処置が必要ない場合もあれば、手術をする場合もあります。RCHには手術が必要なケースが集まるので、こうした珍しい症例も続くのです。

RCHで行う手術はJaw Distractionといって顎関節にねじのようなものを埋め込み、少しずつねじを回して顎を広げていくものです。そうすることで狭くなっている気道(特に上気道)を広げられる、ということです。

最初、赤ちゃんの顎関節あたりからねじが飛び出ているのをみたときはびっくりしたものです。術後しばらくはそのねじを一日何回か360度回します。こんなことして痛くないのかなぁ・・・と心配したものですが、意外や意外大丈夫でした。

NPチューブの管理やJaw Distractionの術後のケアなど、今まで経験がなかったのですが、ここにきて立て続けに学ぶことが出来ました。ほかの症例ともあわせて、最近新生児外科の面白さを少し感じているところです。


2012年9月6日木曜日

結婚記念日

私たちは2011年7月30日(土曜日)に結婚しました。

通常「結婚記念日」というのは1年ごとだと思うのですが、私の夫はちょっと変わっていて、いろんな日を「記念日」としています。

最初のころは、「It's been 24 hours...!」とか、「I have survived 100 hours」などなど。そして数え方がHoursからWeeksに変わっていきました。10 weeks, 15 weeks, などきりがいい数字以外に、ほぼ毎週のように何週目、と数えているようです。私はあまり細かいことは気にしないたちなので、何週目なんて覚えてないのですが、きりのいい数字の週は「お祝いをかねてちょっといいところで食事しよう~♪」なんてこともたびたび。
 
そして結婚1年目は夫にとっては「52nd week」だそうです。私は毎年7月30日が記念日だとおもうのですけどね。だって、誕生日だって毎年同じ日なのに・・・

まぁ、土曜日のほうがお祝いしやすいし悪い案でもないか、ということで52週目の土曜日(7月28日)にお祝いしました。結婚式の日、家族で食事会をしたお気に入りのレストランにて。 でも私としてはやっぱり7月30日のほうが記念日だという気持ちもあり、30日は自宅でお祝い。

1年が過ぎたところで、すっかり結婚何週目なんて気にしなくなった私。ところがこの間の日曜日の朝、夫が朝食時に突然カードをくれました。

カードには「400 days, Congratulations!」と。




今思い返せば、100日、200日、300日ときりも夫は覚えていたような・・・でも私は日にちまでは覚えてなく、びっくりでした。



夫からのこんな心遣いでほんわかと幸せを感じた400日目でした。




2012年9月3日月曜日

RNがとれてからの就職活動(メルボルン編)


オーストラリアでのRNの資格が取れたのが今年の2月。資格が取れた時期とほぼ同時期に近所のAged Care(老人ホーム)で介護助手として働き始めていました。RNが取れたのでAged Careの上司からRNとして働かないか、と誘われたのですが、いきなり経験のない分野でのRNの仕事は無理だろう・・・と思い、様子を見るつもりで介護助手として仕事をしばらくしていました。

介護助手はそれなりに楽しいこともありましたが、体力的にはきつく、ほかにも理由は色々あるのですが、やはり自分が今までやってきた新生児の分野で仕事がしたいという気持ちはずっとあり、介護助手をしながら新生児領域での仕事を探していました。

カナダでの就職活動の時もそうでしたが、どこから始めていいのかわからず、まずはGoogleで手当たりしだいNeonatal Nursingで検索。あとはNICUのある病院はある程度しっていたので、それぞれの病院のWebsiteで募集を探すなど。NICUに限らず、Special Care(NICUよりも軽症を扱う病棟)などでも探してみました。当時第一希望だった近所の大学病院のNICU(Monash Medical Center)には3度も自分の履歴書を送ってみるものの、音沙汰なし。。。その3回のうち、一度は直接病棟までいって、病棟マネージャーさんあてに封筒をおいてきたものの、連絡なし。 3回送ってもだめかぁ・・・と思いつつもあきらめつかず、OnlineでCasual positionの応募をしてみたけども、何も連絡ない。一度直接人事課にいってみたものの「すべてOnlineだから」といわれて門前払い。なんなんだぁ。。。

メルボルンでNICUを備えている病院はMonash, Mercy, Royal Women'sそしてRoyal Children'sの4つ。どこもOnlineで募集を探すものの、なかなか新生児領域では募集がでませんでした。Royal Women'sで募集が出たものの、Internal applicant onlyだったり(すでに院内で雇用されているスタッフのみが応募できるということ)。。。

直接病院への応募が無理そうということで、Agency(派遣会社)に登録を決めたのが4月。最初派遣にはだいぶ抵抗がありました。というのも、しらない病院にいきなりいって仕事をしないといけないという状況がとてもストレスフルに感じたのです。でもオーストラリアではAgency経由で働くナースがかなりいるということで、「だったら、私も試してみるか」という気持ちで登録してみました。

そして派遣での仕事が始まったのが5月。最初は本当に怖かったです。オーストラリアでの病棟実習もしたことないし、書類ひとつとってもまったく違うし、カナダで使っていた英語とはまた違ったり。。。基本的な赤ちゃんのアセスメントは一緒なのですが、やり方は色々違ったり。輸液ポンプやほかの物品もいろいろ違います。最初のころはとにかくオーストラリアでの実習も仕事の経験もないことをとにかくアピールし続け、質問し続けていました。

人によっては色々な病院、病棟に行くこともあるのですが、私の場合は経験のある新生児に絞っていたので、最初はなかなかシフトが回ってきませんでした。ところが一度行きだしたら、仕事が定期的に入るようになり、今は主にRoyal Children's hospitalで週に2-3回ほど働いています。

このRoyal Children's hospitalというのはオーストラリアで一番大きな小児病院らしく、そしてかなりの重症新生児(主に外科系)が集まるところでもあります。忙しいことに加え、スタッフがいつも不足しているので、ここで仕事を希望すると割りと定期的に仕事が入ってきます。ただ、仕事の予定は当日にわかることが多く(数時間前だったりもする)、あと予定が決まっていても直前でキャンセルということもたまにあります。

Agencyだけの仕事ではなんとなく不安定な感があり、病院での就職活動も再開しました。病院での就職ができれば院内での勉強会や講習会にも参加できるし、あとはカナダでも痛感しましたが、システムに入り込むというのは今後の可能性を増やすためにも必要だと思い。

ということで、手始めにRoyal Women's hospitalの人事課に履歴書を送ってみました。なぜここだったか?というと、単に人事課に電話をしたら担当者の連絡先を教えてもらえたからです・笑 Monashはとにかく「Onlineで申し込め」の一点張りだったので・・・

だめもとでRoyal Women's hospitalの人事科に「新生児領域でPart-timeかCasual positionを探している」と連絡をしたら、数日後「NICUのマネージャーにHadijaさんの履歴書を転送するので、連絡があったら折り返し連絡します」と返事がありました。返事があるだけでもまぁいいか、とかなり期待は低く持っていました。なんせ、Monashは4回連絡してもなにもなかったので。。。

ところが数週間後には「Hadijaさん、Casual positionでお仕事決まりました」という採用一式書類が送られてきたのです。面接も無しで!!!!!これにはほんとーーーーーーにびっくりしました。でも仕事が決まってあえて「面接も無しでいいんですか?」なんて寝ているトラを起こすような質問はしたくなかったので、そのままにしておきました。

このCasual positionというのは病院内のNurse Bankというところに所属になります。院内のAgencyみたいなものです。このNurse Bankに登録されているスタッフが院内の色々な病棟(この病院は女性専門病院なので、周産期が主ですが、それ以外に腫瘍科、一般外科、救急など)に派遣されます。私の場合は新生児の経験のみとみなされて、かつNICUに必要なオーストラリアでの経験がないということで、軽症レベルのSpecial careのみに派遣される仕組みとなっています。

このNurse Bankというのも仕事があるかは波があるようですが、これは今後仕事がもう少し始まってみたらまた報告いたします。とりあえず明日はWomen's hospitalでの独り立ちシフトデビューしてきます!