2008年11月23日日曜日

三つ子ちゃん・双子ちゃん

前回書いた三つ子ちゃんの一人、Nate(仮名)。

私が受け持った数日後、腸管穿孔を起こして緊急手術となってしまいました。。。そしてその数日後に亡くなったそうです。かなりのハイリスクで生まれてきたので、避けられない結果だったかもしれないですが、その過程でもう少し違う対処方法があったのでは・・・?とすっきりしないです。

あとの2人も呼吸が安定せず、再び挿管されて人工呼吸器で管理されています。まだまだながーい道のりが続きます。

最近本当に多胎が多いです。

この数日の夜勤で受け持ったのも双子ちゃん。27週で生まれて、その後険しい道のりを経て、今では元気に経口でミルクを飲んでいます。お母さんはまだ20台前半という若さのAborigine。すでに4歳の女の子がいて、今回の双子ちゃんは望んだ妊娠ではなく、偶然双子ちゃんを授かってしまった、というながれ。

この双子ちゃんのパパ(結婚はしていない)はアルコール・ドラック中毒者。妊娠に関しても受け入れてなかったそうで、今後どうこのママが双子ちゃんを家に連れて帰るか、経済的にも育児サポートなど、問題は山積み。

母乳育児を希望しながらも、赤ちゃんの授乳の直前に搾乳してしまう、そして飲ませるのはミルク、という不思議な行動をとるママ。「搾乳するよりも、直接おっぱいを飲ませてみたら?」と促すと出来るのだけど、繰り返しかかわりが必要。

私が担当した夜間2日間とも毎回の授乳にはきて積極的に赤ちゃんに関わっている。でも日中はほとんど来ないという。きっと疲れて寝ているのか??赤ちゃんが退院したらすべての負担はママにかかってくる。ソーシャルワーカーが退院後のアレンジメントを計画しているけども、とても難しそうなケース。どうなることか。。。

別の24週の双子ちゃん。お母さんはスーダン出身のまだ18歳か20歳という若さ。望んだ妊娠でなく、これまた双子ちゃんというケース。ママは面会にはほとんど来なく、治療の方針はママの出身部族のリーダーが発言力があるいう珍しいケース。この24週の双子ちゃんは二人とも頭の出血が大きく、今後重度の障害を残すことがほぼわかっている状態。

通常こういう状態になると、今の職場では積極的に治療は進めず、、むしろ治療を一切「止める」ことがよくある。この「止める」ということに関しては私の今までやってきた臨床とはまったく違い(おそらく今の日本でも行われてないのでは?)今だ理解できないことも多い。この件に関してはとても複雑なので、また日を改めて書いてみたい。

24週の双子ちゃんはとりあえず「DNR」(Do Not Resuscitate:心肺停止したとき蘇生しない)という合意を部族リーダーなる人と取っているとのこと。でも現状の治療は続行することに。その治療の相談もうまくコミュニケーションがとれず(たとえばケアチームとミーティングを予定しても来ないとか、面会にもほとんど来ない)これまた難しいケース。


望むところにはなかなか赤ちゃんが出来ない一方、望まないところに双子ちゃんや三つ子ちゃんが生まれてくる、本当に不思議なものです。。。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

日々、お疲れ様です。
日本でも最近はBedside(医療者side)でDNRという言葉が広がってきたかもしれません。
特に癌の末期のご家族や、脳卒中などで在宅介護が長いご家族とはそういう話になります。
患者さんの数だけ家族背景があり、それに出会うたび自らの家族関係を見直したり、自分の医療に対する信念を見つめなおしたりしなければならず、最もしんどい時ですよね。
でもその関わりの中で幸せな気持ちになることもたくさんあるので続けていけるのだと思っています。
Hadijaちゃんもゆっくりと頑張ってね!

Hadija さんのコメント...

だーしまさん

いつもコメントありがとうございます。

受け持つ赤ちゃんの数は少ないけども、本当にさまざまな家族背景があります。でも、少ないがゆえに、家族のことまで考える時間があるのかも?何てことも思います。かつての臨床時代は、目の前にあることで精一杯だったなぁ、と。今でも一杯一杯なのですが!

シカゴ行きの準備いかがでしょうか?こちらはこちらで計画練っているところですよ。うふ♪